《MUMEI》 重い電話 軽い楽しみ(祐希視点)遅番を終えて携帯を確認すると、慎からメールが来ていた。 『高山の事で、話がある。本当は会って話したいけど、遅いから、電話でもいい。 電話大丈夫ならメールして。 俺からかけるから』 最後の一文は、一人暮らしの俺の財産事情を気遣ってくれるのか、それとも、そんなに長くなりそうな話なのか、わからなかったが… (重そう…) 俺は、ゆっくり慎にメールを打ち始めた。 『今大丈夫』 …送信。 すぐに、携帯が鳴る。 …予想以上に早かった。 そして、話は、予想以上に重かった。 「は〜」 ため息をつくと、 『これでも、だいぶ省略したんだぞ』 と慎に怒られた。 (…これでも?) 事件に遭ったのは、高山。髪と顔を切られて、入院中。 犯人は、高山の元夫。 それだけでも俺には、十分、ため息ものの重い内容だった。 『そういえば、高山の妹が変な事言っててさ〜』 「ん〜?」 どうせ、重いんだと覚悟しながら聞いた。 「…何それ?」 『わかんね〜。大体、どんなタイミングで『それ』やっていいかもわかんないし』 前へ |次へ |
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