《MUMEI》
ごめんな
 〜銀也〜
『銀也・・・お前は悪くないよ』
 友祥が俺にそう告げた。
 でも・・・俺は・・俺のせいとしか思えなかった。
 俺が・・涼哉と友祥を傷つけたんだ―。

「ごめんな」
 俺には謝る事しか・・できなかった。
 二人の方をささえて・・俺の家に呼んだ。
 手当てをするためだ・・・。
 手当てを涼哉から始めようとすると、
「友祥からでいいよ」
「えっ・・・でも・・・」
「少し・・・寝るから・・」
 そういって倒れこんだ涼哉は目をつぶった。
「じゃあ・・友祥・・・ベットに寝て」
「あぁ・・・・」
 背中に殴られたのか・・蹴られたのか・・かさぶたのような傷やらなんやらあった。
「痛かったらごめん」
 俺は・・・消毒をした。
「ッ・・・・」
「ごめん」
 俺の涙が自然に友祥の背中を濡らした。
 俺は・・・・こんなにも傷つけてしまったのか。

 友祥の手当てが終わった後・・、涼哉を起こした。
「あぁ・・」

 頭の傷に消毒をしようとした。
「ごめんな」
「痛くねぇから」
「でも・・・」
 傷はかさぶたになっていた。
「泣くな・・・男だろ」
涼哉は泣きそうな俺にそういった。
「でも・・俺・・・」
「お前の苦しみは俺と友祥より辛いコトぐらいわかるよ・・ダチだろ?」
「そんなことねぇよ」
「強がるなよ」
「強がってねぇよ。なぁ・・・涼哉・・お前だって・・・・泣いていいんだからな」
「分かってる」
「俺にくらい弱さ見せたっていいだろ?」
「銀也・・・おめでとう」
「え・・・?」
「新記録・・・おめでとう」
涼哉の口からそんな言葉が溢れたんだ。
「涼哉・・俺・・・・」
「ごめんな・・・俺だって悪いんだ・・注意してれば」
「注意なんて・・・」
 二人とも泣いていた。そこに友祥が加わって三人で泣いた―。

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