《MUMEI》 彼は、神社の石段に腰掛けた。 「…え〜と… あたしも、隣いいかな??」 今日のあたしは、なんか勇気ある!! 二階堂君はあたしをちら、と見ただけで何も答えなかったけど、 沈黙は、都合よく『了解』と解釈して、 あたしは隣にそっと腰を下ろした。 沈黙。 「…あの〜… あたし、二階堂君と同じクラスの…!!」 少しでも、興味を持って欲しくて、 あたしはその辺に落ちてた棒切れを拾って、 地面に自分の苗字を書いた。 『棗』 二階堂君は少し首をかしげてその字を見つめると、 「…なつめ」 小さく読み上げた。 その声で名前を呼んでもらえたことに、すごく感動して、 「ねえ!!…二階堂君は、下の名前、何ていうの!?」 頑張って、訊いてみた。 しばらくの沈黙の後。 「……えみ」 「…えっ!?なに!?」 彼の口から出たのは、 あたしの名前だった。 『棗 恵実』 なつめ えみ。 あたしの、名前―…。 前へ |次へ |
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