《MUMEI》

彼は、またしばらく黙り込んだ後、

ふいにあたしの手から棒を抜き取ると、地面に



『笑』



と、書いた。



二階堂君の謎の行動に、あたしは首をかしげた。



…わらい…??



「えっと…なに??」


ってゆうか、なんで二階堂君、あたしの名前知ってたんだろ??

ぞれに、いきなり下の名前で呼び捨てなんて…



「えみ」



もう一度、彼が口を開く。


心地よい響き。



「はい!!」


あたしが返事をすると、


彼はまた少し眉根を寄せて、

地面に書いた『笑』の字を指差した。




「…俺の、名前…」



『二階堂 笑』

にかいどう えみ。


―…それが、彼の名前だった。

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