《MUMEI》 奈々の持っていた荷物を後部座席に置いて、車に乗り込む。 漆黒のインテグラ。親父が車関係の仕事をしていたおかげで破格の値段で手に入った。 「早速だけどアパートの下見からで良いのかな?」 「はい。お願いします先輩」 駅から5分。そこに俺の住むアパートがある。二階建てで一階に四部屋、二階に四部屋の合計八部屋がある。俺は二階の角部屋になる。そしてその隣の部屋が空いているのでその部屋へと案内した。 鍵はあらかじめ大家さんから預かっている。部屋に入ると奈々はぐるりと見渡し、洗面所や風呂場を覗いたりしていた。 「先輩はどうしてこのアパートに決めたんですか?」 前へ |次へ |
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