《MUMEI》

「………なんとなくかな」

俺が去年始めてこの部屋(俺が見たのは隣の部屋だが造りが全く同じなので)を見た時は、狭くてぱっとしない感じだった。まだ見ぬ一人暮しをひどく自分の理想で塗り固めていた俺は、出来ればこんな家ではないところに住みたかった。

なら何故ここに決めたかと言うと、しかたがなかったからだ。面倒臭いので説明は省くが、決して俺はこの家を気に入っていないという事だけはいっておこう。だから奈々にこう聞かれると困る。

「気に入らなかったら他を探した方が良いんじゃないかな、時間もまだまだあることだし」

「そうですか………そっちの方が先輩にとっても良いですよね」

「俺にとって?どういうこと?」

「先輩は頼まれたから私にこの部屋を紹介してくれたんですよね?」

「えっ?頼まれた?誰に?何を?」

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