《MUMEI》

「どうしてって言われても困る………奈々がいれば退屈しないかと思って隣の部屋を紹介しただけだよ」

「本当ですか?それじゃあ先輩は嫌々紹介した訳じゃないんですね」

「ああ、それは神に誓って言える。嫌々紹介なんかするもんか」

そういうと奈々は嬉しそうな表情を見せて改めて部屋の観察を始めた。

「それじゃあ………私、この部屋に住んでも良いですか?」

「奈々が良いと思うんならそれで良いと思うよ」

彼女は頷くとまた嬉しそうな表情をした。

どうやら奈々は部屋の下見に来たというより、俺が迷惑をしているんじゃないかと………俺の顔色をうかがいに来たようだ。

「私ここに住みますね。よろしくお願いします」

奈々はそういって丁寧にお辞儀までして見せた。

………本当に退屈はしなさそうだと心底そう思った。

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