《MUMEI》 「お金が足りないとかですか?」 藤原は金に困っているというようには見えない。バイトをして十分過ぎるほど資金はある。それでも不満があるとはっきり言った。その不満が何かは教えてくれなかった。 「お金以外で何かないかな?」 「うーん。難しいですね。自分の家を嫌いになる理由を考えれば良いんですよね。部屋が狭いとか、騒音がするとかそういうことぐらいしか思い付かないです」 「騒音か………そうか周りの人の影響を受けるということもあるな。そういうことかもしれない」 再び奈々は首を傾けた。そんな動作が何故こんな質問したのかを教えて欲しい、そう言ってる気がしたので、藤原とこの前した話しを聞かせた。 「理由はないけど不満はあるって言ったんですね。それじゃあ…………騒音とかそういう問題じゃないかもしれないですね」 前へ |次へ |
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