《MUMEI》

「どういうこと?」

「きっと具体的な事柄じゃないんですよ。どう言えば良いんだろう。うーん………寂しさとか悲しさとか何か感情的なものが関係しているんじゃないですか」

寂しさとか悲しさか。いわゆるホームシックになってるってことなのだろうか。それじゃあ俺の部屋によく来るのは寂しさを紛らわせる為………なのか?

それは俺の持つ藤原のイメージと違っていた。ふらっとやって来ては漫画を読んだりして過ごして行く藤原が実はホームシック?バイトで声がかれるぐらい大きな声を出している藤原がホームシック?

「他に思い付くことはな………」

『ピンポン』

インターホンに遮られた。自分の部屋じゃないので、出て行くことが少しためらわれたが出ない訳には行かない。仕方なくドアを開けると大家さんがそこにいた。

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