《MUMEI》 「国雄危ない!」 レイが俺を突き飛ばした。田んぼへ俺は突っ込んでレイは誰かともみ合っている。 モエ姉ちゃんだ。 愛知か……どこで嗅ぎ付けたんだ? それより助けなきゃ。 「愛知を盗ったわね!私の愛知を!」 半狂乱で通りすがりの人に押さえ込まれながらモエ姉ちゃんは叫び続ける。 その様をレイは実に冷静に観ていた。 俺は親と話し合う羽目になった。 「俺はモエ姉ちゃんの恋人と寝たよ。 互いに遊びだって割り切っていた。」 開き直る。 手っ取り早い答えだ。 俺は別に性別で人間を選んでいる訳じゃない。 相性で選んでいる。 身体もまた然り。 モラルは本能には勝てない、それをよく知っている。 「そういう問題じゃない!」 じゃあどういう問題なのだろうと反抗したくなるのを堪えた。 親父は相変わらず怒鳴り散らしオフクロは啜り泣く。 「……大学生になったら此処から出ていきなさい」 ジィさんは的確な判決を下した。 諸悪の根源の俺を抜き取るという……――――つまり、こんな餓鬼扱い切れないってことだ。 牡牝構わず食い散らかすんだもの当たり前か。 この辺一帯のオンナ漁りすぎてそのうち村八分だ。 いや、誰も何も言わないだけで……もうなりかけているのかもしれない。 俺は大学生になったらお望み通り此処を出ていこう。そうすりゃ文句も言えまい。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |