《MUMEI》
猫かぶり王子降臨
‥ハァハァ‥ハァ‥‥
『あ、あれ?確かに居たと思ったんだけど』

(間違えない筈なんだけどなぁ‥‥。)
菫は、額の汗を左腕で拭った。

(うーん‥‥。)
菫の大きな瞳がクリクリと可愛いらしく動く。すると突然後ろから猛獣の叫びに似た声がした。

『すぅーみぃれー!』
その声の主は、ちよこであるとすぐに理解した


(可愛い顔してるけど、この変人っぷりだったら可愛さ半減だよね)

そんな事を考えながら走って来るちよこを可哀想な眼差しで見つめていた

(あれ?何か菫が可哀想な生き物を見る目であたしを見ている気がする!)

何となくちよこにも
伝わったらしい。


『早ェ――。』
『足の速さだけが取り柄だからねぇ』

十字路の3m後ろから鷹と悠夜が歩きながら話している。


『大丈夫?凄い汗の量だけどム』

心配する菫に、ハァハァと荒い息で

「じ、自分の、事なんかよりもハァ‥息子の事心配するのよ、母親は」

『えッ?意味わかんないよ何時から俺、息子になったの!?』


『!?オィッ!』

ちよこと菫が訳の分からないトークをしていると、右の方から聞いたことのある声が聞こえた。


「『‥!!!』」

『何処行ってたんだよ、女中までがお前探してたぞ。』

そこには、あの時自分の上に落ちてきた挙げ句鼻フックをしよいとした栗毛野郎が髪を乱しながら立っていた。

ちよこは、椿を見るなり段々と怒りやら何やらが込み上げてきた。


『あっ、ごめん。道に迷っちゃってム』

慌て謝る菫。

『でも良かった。お前極度の方向オンチなんだから気を付けて行動し「うらぁああああッ!」!!?』

いきなり椿に飛び付くちよこ。

『!!ちよこチャン!?』
驚く菫。

『!?アンタあの時の!』
驚く椿。

「フッフッフ 忘れたとは、言わせんぞ?」
不敵に笑うちよこ。


『ちょっと!?何してんだよ!ちよこヤ』
『いろんな意味でヤバイよぉ〜捕まっちゃうよ〜』

鷹の怒鳴る声が響く


「たっチャンあたしは、コイツに恨みがあ‥『グスッ‥‥。』‥‥えッ!?」

椿は、泣いてしまった。

(えぇぇッ!!?)

『何処が恨みだ、泣いてんだろその子!!』

正義感の強い鷹は、ちよこに叱る。

『‥‥‥‥‥。』

悠夜は、椿を怪しむ目で見る。


(あ〜ぁ、椿のオモチャになっちゃうな‥。)

又もや可哀想な眼差しでちよこを見る

『酷いよ。僕何もしてないのにぃ‥‥グスッ‥恨まれるなんてぇ』

(えぇぇッ!!コイツこんなか弱いキャラだっけか!?)

「ち、ちょっと待って!鷹コイツこんなキャラじゃないんだよ!!」

チラッと椿の顔を除く。


ニヤリ‥‥
ちよこと目が合うと片方の口だけ吊り上げ、不敵に笑った。

椿の背後には、ドス黒いオーラが出ていた

(コ、コイツ猫かぶり大魔王だったのかァァァ)

やっと気づいたちよこ。


椿は、楽しげにちよこの悔しそうな顔を見ていた

(俺がSの猫かぶりだってやっと気がついたかバ〜〜カ♪♪)




猫かぶり王子降臨。

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