《MUMEI》
困惑
病室に残された俺と、祐希は…


―しばらく、お互い無言だった。


俺は、秀先輩の言葉を思い出していた。





(初恋…だって?)

誰が、

誰の?


いくら中学時代を振り返ってみても、俺には、全然、心当たりが無かった。

(でも…)

仮に、そうだとしても、『今』、志穂が俺を好きなんて事は、無い、筈だ。

志穂は、俺と祐希が恋人同士だと、認めているんだから…


「どうする?」
「え?」

困惑していた俺は、祐希の言葉にギクリとしたが、…

(あぁ、これの事か)

祐希が俺の持っている鍵とメモを指差していたので、少し、安心した。

(そうだ)

今の問題は、これだ。

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