《MUMEI》

「いつから起きてたの?」

「ずっと起きてた」


加奈は僕を抱きしめたまま答えた。





「寝たふりだったんだ。本当に寝たと思ってた。」





「空が寝たと思い込んだだけだよ。」



加奈はそっと左手で僕の左袖をあげた。




「いつから知ってたの?」


「ずっと前から。時々見えたてたの。空は気ずかなかった?」


「うそっ!?」


「本当。」



そんなの気ずかなかった。


「空、いつから切ってるの?」




「そんなのわからない。覚えてないんだ。」




これは事実だった。僕は本当にいつから切り出したか覚えてなかった。




「空…私ね…実は…。」



この後、僕の思考回路は途絶えた。

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