《MUMEI》 「あと、これだろ?」 そう言って、秀先輩は、冷えた缶ビールをいくつか置いていく。 そして、残りのビールと、ビニール袋の中身を、冷蔵庫に閉まっていく。 湯気とうまそうな匂いの立ち込める料理に、冷たいビール。 もう、たまらない組み合わせだ。 俺の隣の祐希の目も輝いていた。 ―その時。 「秀兄ちゃん、祐希君車なんだよ?駄目じゃない!」 志穂が、秀先輩に抗議した。 しかし、秀先輩はケロリとして、 「ん?大丈夫だろう?泊まっいけば?」 と答えた。 そして、俺と祐希に視線を向ける。 「…なぁ?」 「「…はい」」 俺と祐希は、この状況で、このまま飲まずに帰る気には、… とても、なれなかった。 「泊まる用意なんて…何も…」 「「「あ、大丈夫」」」 志穂の言葉に、他の三人が同時に答えた。 貴子さんから渡された荷物― それは、いわゆる『お泊まりセット』だった― 前へ |次へ |
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