《MUMEI》
余韻
「実家へ?」

レイは俺がまさか進んで帰るなんて考えてもないもんだから驚いている。

「スーツとか持ってないし、じーさんのあったら借りて、無いならせびろうかと。」

「……まあ私も次の日曜は空いてるから」

まだ目を瞬かせていた。


俺が帰る気を起こさせるほど、時間は俺を丸くさせたのだろう。俺を窮屈にさせるものはもうない。
あったとしても見ないふりをすればいい。



「幹祐!」

年越しさえ顔を出してなかったので幹祐は背が多少伸びていた。

「国兄……」

面構えも男らしくなったようだ。
オフクロ達には揉めるだけ揉めた分、言うこともないから極力無駄のないように話す。きっと互いの為にはそれが一番だ。

別に俺自身根は真面目だから会話する分には差し支えない。
反抗しているというよりは問題が起きてしまったというニュアンスで表せばいいか。

「不純異性交流」も学生になったら「夜遊び」で済まされる。

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