《MUMEI》 宴会秀先輩が仕事に行くと言って部屋を出て行った後。 「じゃ…食べ、ますか」 志穂が自分の分の飲み物(お茶)と、箸を持って席に着いた。 俺と祐希の手元には、秀先輩が置いていってくれた、缶ビールと割り箸がある。 「あぁ」 俺が頷くと… 「一応、乾杯する?」 と祐希が提案してきた。 「そう、ね」 「…だな」 俺と志穂は、賛成した。 (これは、一応、志穂の退院祝いも兼ねているだろうし…) 志穂にグラスはいるか訊かれたが、俺と祐希は、いつも缶ビールはそのまま飲んでいるからいらないと断った。 「「「それじゃ、カンパーイ!」」」 缶とグラスをコツンとくっつける。 プシュッ それから俺と祐希は、待ってましたとばかりに、缶を開け、冷たいビールをゴクゴク飲んだ。 そして、秀先輩が置いていった料理に次々と箸を伸ばす。 どれもこれも、美味い。 失礼だが、あの外見からは想像できないほど、繊細な味付けだった。 前へ |次へ |
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