《MUMEI》 夜志穂が走り去っても、俺はまだ起き上がれずにいた。 腕に残る、柔らかい感触。 祐希とも、俺とも違う、『女』の、体。 俺は、意味もなく手を開いたり閉じたりしていた。 何だかさっきから、やけにドキドキしていた。 「し〜ん、顔、赤いぞ?」 祐希が顔を覗き込んできた。 俺は、両手で頬を押さえた。 (熱い…) 「志穂ちゃんの体に欲情しちゃった?」 「バッ…、そんなわけないだろ」 「どうかな〜?慎は、ちゃんとしたオトコノコだし」 そう言うと、祐希は、俺を抱きかかえた。 「ちょ、何すんだよ!」 「ん〜ナニするのは、この後だよ」 男としては、屈辱のお姫様だっこをされたまま、俺は客間に運ばれた。 部屋には、ダブルベットと、床に一組布団が敷かれていた。 ドサッ 祐希は俺を少し乱暴に、ベッドに下ろした。 「高山兄妹が、時々泊まりに来るから、シングルじゃなくてダブルなんだって。 俺達には、好都合だよね」 祐希は、服を脱ぎながら、ベッドに上がってきた。 そして、俺のシャツのボタンを外していく。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |