《MUMEI》
2年目
赤いランドセルを揺らした帰り道、必ず君は私を待っていてくれたね。
『愛驪、帰ろう』
人通りの無い帰り道、君の姿をみるといつも安心してたっけ。
『あーっ空!カーエロッ♪』
君は私の頭をワシャワシャした。
『コラコラ、空さんとお呼びなさい。』
『もー、やめてよー!髪ボサボサになっちゃうじゃ〜ん!』
おどけた顔をしてみせる君。
あの頃私は小6で、君は中2だったっけ。
『さん付けってヤダヨー。なんか嫌〜』
私はじたばた暴れて君の手を振り払った。
本当はその手が物凄く嬉しかった。
暖かく大きなその手で、私のココロまで包み込んでくれる気がして。
『じゃあ…。【空兄】でどうだあ!?』
『おぅ!いいねそのネーミング!』
『ダロ!?』
『うん、いいね!流石空!』
『コラッ!結局呼び捨てかよ!』
『アハハ!!』
いつもと全く変わらない、日常。
本当に、本当に楽しかった。
永遠に忘れない、想い出。
宝物。

「愛驪〜!早くしなさーい!ボーッとしてないで!ホラ!お友達迎えに来てるのよ〜!」
母の声で、私はあの想い出から目が覚めた。
「はーい!今行く〜!!」
私は高速で階段をかけ降りた。
バァン!
ドアをあける音が響く。 「ご、ゴメン…遅くなっちゃって…」
「いいよー!愛、行こっ!」
私達は歩き出した。
あ……………………。
今日は、あの日か…。

今日で…2年目…か。
もうすぐ、私は君の歳を上回る。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫