《MUMEI》

アラタと樹とは交わえない線上にある。
アラタにとっては歯牙にもかけない羽虫。
樹にとっては侵してはならない聖域。
互いに理解があるはずだったのに、アラタは待ってしまった。
樹の存在が異質になる。

始終見張られる違和感と閉塞感に意識を喰われそうになっては踏み止まる。

此処では味方なんて在りはしない。信じられるものは自身だ。


空手部員の二人と若菜の接点を探りたいと入部したが、まともな情報は得られない。

樹はクラスに嫌煙され提出用ノートを集めて貰えなかった。やむを得ず職員室に行く。

担任の教卓の上にノートを置いておく。


空手部の顧問でもあるその机には部の連絡網があった。



若菜との共通点があった。

あの空手部員と住所が近い。



何らかの接点はあるはずである。

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