《MUMEI》

(え〜と)

俺は、キョロキョロしながら、バスルームを探した。
それらしき入口を発見し、ホッとしながらドアを開ける。

中に入ると、そこは志穂らしい、きちんと整頓された脱衣所だった。
洗面台もあるから、洗面所も兼ねているようだ。
そこには、最新のドラム式洗濯乾燥機も置いてあった。

浴室へとつづく、すりガラスの扉の近くのカゴには、きちんとたたまれたバスタオルとフェイスタオルが用意されていた。

(…ん?何だ、これ?)

俺は、その上に置かれているメモ用紙を手に取った。
そこには、女性らしい小さめの可愛い文字で、

『きちんと洋服を着てから、脱衣所を出て下さい』

と書かれていた。

俺は、不意に一緒に住んでいる妹の事を思い出した。
それは、妹にも、同じ事を注意された事があったからだった。

ふと俺は、祐希はこれをちゃんと守れたのだろうかと思った。

祐希の兄弟は男ばかりだから、こういう事には鈍感なような気がした。

(まぁ、志穂もいるし、いくら祐希でも、それは無いか)

考え過ぎだと思い、俺はシャワーを浴びた。

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