《MUMEI》
君の苦しみ
「あたし・・・・」
 友祥が震える綾を抱きしめた。
「友・・祥・・・?」
「言いたくなるまで言わなくていい・・・言うのが辛いなら言わなくていい・・・・でも・・・俺を頼っていいから」
「ぅん」
 綾は・・先輩に呼び出されてリンチされたらしい。
「綾・・大丈夫だよ・・・・大丈夫だから・・大丈夫だから・・・」
「・・・友・・・祥ぉ・・・」
「大丈夫だから」
友祥が言う。
 友祥っていい奴だ。いい人だ。現代には少ない本当にいい人なんだ。あんなに優しい人・・見た事なかった。


「大丈夫?」
「もう・・・大丈夫だよ・・・」
綾がそういった頃には・・夕方になっていた。
 綾は無理して笑っているようだが・・さっきは笑う事もできなかったから・・とも人のパワーが効いたのだろう。
「帰ろう・・」
綾が言った。
「送ってく・・」
「悪いよ・・」
「いいから・・・」
「ありがとう」

 友祥と綾が話しているのを耳で聞きながら・・銀也と俺は話した。
「あのさ・・・涼哉・・俺たち一緒にいられるのかな・・・?」
「どういうこと?」
「この先・・ずっと・・」
「いられるよ、きっと」
「そうだよな・・・そうだといいな・・・」
銀也が笑った。
 銀也にしては、少し元気が無かったように思った。昨日のコトを引きずっているのだろうか?
「銀也・・元気ないね」
「いや・・・別に、そんなことねーよ」
 いつもの銀也に戻った―。

 
 なぁ、銀也・・・あの時・・どんな想いだった―?
 銀也が・・想像以上に苦しんでいた事に気付いたのは・・ずっと後だったな―。

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