《MUMEI》
伊藤視点
分かってんのかコイツ!
こっちは真夜中だ、いや…、まあいいや。
『何食べてもおいしくないんだもん!皆おいしいって食べてんのが信じらんない』
「そりゃ向こうの味覚に合わしてんだからしゃーねーよ、どうせもう今日帰国だろ?それよりいー写真撮れたかい…」
『んー分かんねー。
適当にうろうろしてるとこ撮っただけみたいな感じだし、あ、でも…ハハッ、エッチなの撮られた』
「え?どんなん!」
『気になる?』
「そりゃなあ、気になるだろ」
他の奴に出来るなら晒したくねーのは彼氏として当然。
いや、何だか今は別れてるんだっけ?。
年中電話してっからその辺良く分からん。
『シャワー浴びて出てきたらいきなり全裸撮られてさー!もーマジでびびったし!
もーずっと一人だって思ってたから鼻歌まで歌ってたしさ、もうめっちゃ恥ずかしくて笑っちゃったよ〜』
「そ、そうか、いや笑って済んだんならいーんじゃねーか?」
『もー全然良くないって!だってさ…、うん』
「ん?どうした?」
声のトーンが突然変わった。でも暗いトーンじゃなく恥ずかしそうな…、様子が眼に浮かぶ様で可愛い。
「恥ずかしがらずにお兄さんに言ってごらん?」
『あーもう!言わなきゃ良かった、墓穴だよも〜!』
「ハハハ、まさかオナニーしてたっつーオチだったりしてな、ゆうちゃんエッチだからな〜」
冗談で言ったのに…
『……バカ、何で分かんだよ』
泣きそうな声出すなってば、会いたくて会いたくてしゃーねーのに…。
「まだ俺の事欲しくなんね?俺は裕斗の事抱きたくて…もー堪んねーよ…」
『…バカ、そんな事言わないでよ…、欲しくなっちゃったからしちゃったんじゃないかよ。…もうそろそろ切るね、おやすみなさい…』
「…ああ、おやすみ、無事着いたら電話しろよ」
『うん』
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