《MUMEI》

「…というわけで、志穂ちゃん、ケーキよろしく」
「は?」
志穂が首を傾げる。

「いいじゃん。イブ用の、リハーサルだと思えば。
な、慎も食べたいよな」
「あぁ、…まぁ」

俺達の言葉に、志穂は考え込んでいるようだったが…
「いいよ。
あんまり期待しないでよね」

と、渋々了解した。

「サンキュー、俺と慎のために、一つよろしく。
あ、ここは俺がおごるよ」
祐希はそう言うと、店主にチャーシューメン代を支払いに行った。

「あれは…試されてるのかしら?」
「? 何を?」

祐希の後ろ姿を見つつ、志穂が呟いたので、思わず俺は質問した。

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