《MUMEI》
クリスマスプレゼント
12月23日。

世間でいうところの、『クリスマスイブイブ』だ。

俺も祐希も休みだから、俺は、いつもより早目に祐希のアパートを訪れていた。

…といっても、別に、
「昼間から、こういう事、する為に来たわけじゃないんだけど」

俺は、顔を近付けてくる祐希を力一杯押し退けた。

「え〜、いいじゃん」
「志穂『達』が来たらどうする」

ピタッ

俺の言葉に、祐希の動きが止まった。

別に来るのが志穂だけだったら、祐希は気にはしない。

ただ、昨日―
『明日の午後、祐希君のアパートに、ケーキ届けに行くね。
…貴子ちゃんに送ってもらうから、一応、気を付けてね』
と、志穂からメールが来たのだ。

さすがに、俺達の関係を、貴子さんに知られるのは、まずい。

チェッと舌打ちしながら、祐希は俺から離れた。

「ほら、DVD観るぞ」
「は〜い」

俺達は、二人並んで座った。
DVDの中身は、ロマンチックなラブストーリー…
ではなくて、祐希の好きなロックバンドのライブDVDだった。
始まると、祐希はさっきの事が嘘のように、集中して観ていた。

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