《MUMEI》
デート?
クリスマス。

日曜日と言う事もあり、駅前には、俺と同じように、待ち合わせらしき人がたくさんいた。

(何、勝手に決めてるかな…あの二人は)

俺は、昨日の朝突然祐希から、今日の事を聞いた。

祐希が遊園地の一日パスポートを、志穂にプレゼントした事。
それを使って、俺と志穂でクリスマスを過ごす事。
志穂から承諾は得ている事。

(道理で…)

クリスマスイブイブの夜、珍しくベッドで祐希が優しかったわけだと、俺は納得した。

クリスマスイブの朝も、キスだけだったし。

ちなみに、昨夜は家に帰って家族とイブを過ごしたが…

そこで出されたケーキより、志穂の手作りケーキの方が、はるかにうまかった。
(それにしても…)
こうして志穂と二人で出かけるのは、初めてだ。

俺は、少し緊張してきた。
クリスマスに、男女二人で出かけるのって、

思いっきり『デート』ぽい。

俺は、彼女いない歴=年齢だから、デートなんて、したことない。

(いやいや!)

俺と志穂は『友達』なんだからと、首を大きく振った。

「…慎君?」
「うわぁ!」

いつの間にか、近くに志穂が来ていて、俺は思わず大声を上げた。

(うぅ…)
…周囲の視線が痛い。

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