《MUMEI》 「私、変な寝言とか言った?」 志穂は真剣な表情だったが、俺はホッとして、笑った。 「やっぱり?!」 志穂が慌てたから、少しからかってみたくなった。 「あぁ、『慎君大好きよ、ずっと』って…」 「…」 志穂が無言で耳まで真っ赤になった。 「え、し…」 「おかえりなさいませ」 俺が話しかけようとすると、係員がドアを開けた。 ―その瞬間。 志穂が飛び出した。 「お、おい!待てよ!」 俺も慌てて追いかける。 いつもの志穂なら逃げ切れたかもしれない。 しかし、今日、志穂はブーツで。 俺は、走りやすいスニーカーだった。 それに、人混みにまぎれても、志穂は目立つから追いかけやすかった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |