《MUMEI》
ファン!!
「とにかく、副団長のバンプって奴が居るからそっちと話をしてくれ。」
そう言ってテントの中へと入っていく。
「今度は何をした・・ってセイか。そっちのは、皇国の奴か?」
疲れきった表情を浮かべているバンプ。
(「何があった?」って突っ込んだらダメだよなぁ・・)
「・・あぁ。禾憐って言って、ロゼの側近をやってる。」
隣に立っている禾憐を示しながら、紹介する。
「ネスフェリン皇国、特務隊「ビジョン」所属。禾憐・尊(カレン・ミコト)。」
ピシッと敬礼をし、バンプに挨拶をする禾憐。
「フィリアス教会、リーベル守護騎士団、副団長バンプ・クロムリトだ。」
背筋を正し、きっちりと挨拶を返すバンプ。
「しかし、特務隊が来るとは思わなかったんだが・・」
情報交換をし終えたバンプが禾憐を見ながら話す。
「私も、団長さんに会えると期待してたのですが・・」
丁寧な口調だが、明らかにバンプが相手であることにがっかりしている。
「はぁ〜・・何で彩詩様に会えるハズが・・」
ボソボソ・・
沈黙の合間に零れる禾憐の呟き。
「あ・・あのバンプ!住民の避難はどれくらい進んでる?」
セイが間を取り持つように会話を続ける。
「移動準備が終わってるのは、7割程度だ。もうそれほど時間も掛からないと思うんだがな。」
「そ、そうか。準備ができしだい移動した方がいいだろ。じゃ、禾憐行くぞ。」
禾憐の腕を引っ張ってテントから出ようとする。
「・・コレから彩の様子を見に行くつもりなんだが、良かったら二人共一緒に来ないか?」
書類を片手にバンプが立ち上がる。
「え?でも意識不明なんじゃ・・うわ!」 「行きます!!」
ドゲシ!!
セイが豪快に押し飛ばされる。
「何すんだよ!」 「是非、ご一緒させてください。」
セイ、完全に相手にされていない。
「・・一応、彩も重体だから、静かにしてくれよ。」
はぁ・・と大きくため息をつきながら案内するバンプ。

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