《MUMEI》
学校
「あのっ!」
後ろから、大きな声が聞こえてきた。
「はい」
振り返ると、一年生?かな、小柄な女の子が立っていた。
「あの、これ今落としましたよ!えぇと…かわい…あい……」
「あ、あいりって書いて【めぐり】って読むの。変わってるでしょ?」
女の子は、へぇ〜、と頷いていた。
「拾ってくれてありがとう」
女の子と別れ、愛驪達は教室に入っていった。
愛驪はさっき女の子が拾ってくれたものを見た。
ああ、これか…
これを見るたび思い出す。


空……………。
「花愛!」
先生にいきなり大声で名前をよばれて、愛驪はかなり驚いてしまった。
「は、はいい!」
クラスのなかで、クスクスと笑い声が聞こえてくる。
恥ずかしい。
裏声が出てしまった。先生が低い声で言った。
「ここの問題を解きなさい」
「はい、χに−0、15を代入して………」

ああ、私は……………
いつになったらあなたのこと………

忘 れ ら れ る ん だ ろ う………………


キーンコーンカーンコーン
「愛、今日は大恥かいちゃったね!」
邁弥。
「ま
「あんなの恥の中にはいんねえよ!俺なんかさぁ…
「五月蝿い!アンタと愛驪を一緒にしないでよろしい!」
ああ、全くもう…
邁弥と言い海斗と言い…。
人の話を聞いてからいえっ!!
「か
「ああ、そういえば愛明日誕生日だよね!?」
また…。
「うん、そうだよ」
「えっ!花愛明日誕生日なのか!知らなかった!祝わなきゃなんねぇな!」
「いいよ」
「「えっ?」」
二人が口を揃える。
私はハッとなった。
「い、いや、気持ちだけで充分幸せ〜!ってことだよ!」
私は少し早口で言った。 「えー、やだなあもおっ、水くさいこと言わないでー!プレゼント用意しちゃうし!」
ペン回しをしながら邁弥が言った。
「おーい!愛驪〜!邁弥〜!海斗〜!!」
声の方を見ると、三人が待っていた。
「三人共来たし、行こっか!」
邁弥が言うけれど、私は一緒に帰るのを拒否した。
「ゴメン、用事あるからさ、先帰ってて!」
うん分かった、と邁弥が納得して、私は走った。
君が眠る場所へ。

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