《MUMEI》

俺が、抱かれたい男は、祐希。

俺が、抱きたい女は、志穂。


どちらも、俺が好きだと言った。


俺も、どちらも、好きだ。

だったら、俺は…



―どちらも、手放したりはしない。

―どちらも、手に入れてみせる。


欲張りだとは、思う。

でも、俺は、どちらも失いたくないのだ。


(…何だ)

非常識な祐希と志穂に振り回されてた俺も、結構普通じゃないんだなと、苦笑した。

「うん、決めた」

俺は、声に出して、確認してみた。

「俺は、祐希も、志穂も手に入れる」

―と。

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