《MUMEI》
近衛騎士と皇女
「突撃します、私に続け!!」
号令に応じるように声が上がり疾走の速度が上がっていく近衛騎士団。
林を迂回し、コーリアの軍の側面からの2000騎による強行突撃。
先頭に立つロゼは騎馬を巧みに操り敵兵を踏み砕き、長剣で斬り伏せていく。
続く近衛騎士たちも側面からの奇襲に混乱している敵軍を攻撃していく。
「止まるな!そのまま突破せよ!!」
左から攻撃を仕掛け、突撃の勢いのまま右へと抜け、即座に距離を開けていく。
完全にコーリア教の先頭に居た部隊は混乱し、足並みが崩れる。
後方から騎馬の部隊が反撃のため、ロゼ達の部隊を追う。
「発煙信号弾、青!」
隣に居る信号手に命令を出す。
「了解!青撃ちます!!」
即座に空に青の煙を引きながら信号弾が打ち上げられる。
敵軍の騎馬部隊はロゼの部隊を追い続けている。
「く・・奇襲とはセコイ真似を!何をしている早く立て直せ。」
コーリア軍の本隊では混乱を収めるのに必死になっている。
「相手は少数だ!!コーリア教の力見せてやれ!!」
ロゼの部隊を追っている騎馬部隊が魔法による遠距離攻撃を放つ為詠唱を始める。
一気に魔力がコーリアの騎馬部隊の周囲に満ち始める。
「詠唱を始めましたね・・発煙信号弾、黄、赤、赤。」
「了解、黄、赤、赤。撃ちます!!」
打ち上げられる黄、赤、赤の信号弾。
「は、今更遅い!!撃て!!!」  「黄、赤、赤確認。作戦通り、行くぞ!!」
騎馬部隊の指揮官が一斉射撃を命じる。
ロゼの部隊の前に壁になるように横合いから伏せてあった1000騎が高速で走りこむ。
ドドドドドドドドド!!
次々と打ち出された攻撃魔法は横から出てきた1000騎に確実に着弾していく。
「よし、このまま突撃を仕掛けるぞ!!」  「一斉射撃・・撃て!!」
突撃を仕掛けようとしていたコーリア軍に次々と矢が降り注ぐ。
先ほどの攻撃魔法で魔力を使っていた為、防御シールドは一切無い状況のため、次々と兵が倒れていく。
「く・・突撃だ!!突撃しろ!!」 「私に続け!!」
苛立たしげにコーリア軍の指揮官が叫ぶ。
ロゼの凛とした声が近衛騎士団に届く。壁として出てきた1000騎が道を空けるとほぼ無傷の体勢を整えた2000騎。
その間をロゼ率いる2000騎が駆け抜けていく。
体勢を立て直せぬまま、コーリア軍は攻撃を喰らい次々と倒されていく。
「何をしている!!たかだ・・」
スタン!!
ロゼの長剣が指揮官の首を刎ね飛ばした。

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