《MUMEI》

夕食は、部屋食だったから、俺達はテレビを観ながら、のんびり食べていた。

さすが、志穂が選んだ旅館だけあって、夕食は豪華で美味かった。

俺達は、ビールではなく、美人の仲居さんがすすめてくれた地酒を、熱燗で飲んでいた。

(たまには、いいなあ)
体が芯から温まる。

心地よく、酔いが回ってきた。

「慎。…珍しく、赤いぞ?」
「ん、そうか?ちょっと熱い、かな?」
俺は、浴衣の胸元を少し開けて、ヒラヒラと手であおいだ。

―夕食前に俺と祐希は風呂に入って、二人とも今は浴衣だった。

ちなみに、一緒に入って、その時、一回、…済ませていた。

なので、俺の胸元…鎖骨には、祐希が付けた跡がくっきり残っていた。

「慎…」
祐希が、跡に触れてきた。
「何だ?またしたいのか?
祐希は本当に俺が好きだな?」
俺は、祐希の首に自分の両腕をするりと巻き付けた。

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