《MUMEI》

「何回だって、したいさ。俺は、慎が好きだから」
「俺も、お前に抱かれるの、好きだな…でも」

祐希に押し倒された俺は、両腕を外すと、祐希の頬を撫でた。

「…慎?」
祐希が、お預けをくらった犬のような表情になる。

(本当に、犬だな)

俺は、優しく微笑んで、続けた。
「ここじゃなくて、…」
「わかった!」
「うわ!」

俺の意図を察して、祐希が俺をお姫様だっこして、隣に続くふすまを開けた。

そこには…

さっき仲居さんが敷いていった布団が二組あった。

(もしかして、バレバレ?)
二組の布団は、ぴったりくっついていた。

まぁ、旅先だから、と俺は割りきった。

祐希は俺をそっとそこに下ろした。

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