《MUMEI》 歌に籠めた想い「・・はい、これで終わりです。」 髪を解き終えた式夜が髪留めを彩詩に渡す。 「ん、ありがと。じゃ次は式夜が座って。」 立ち上がると式夜に椅子に座るように勧める。 「・・・あの?」 「いいから、いいから。」 言われるままに座る式夜。 慣れた様子で式夜の髪を梳いていく彩詩。 「・・・コレからどうなるんでしょうか。」 気持ちよさそうに目を閉じている式夜がポツリと呟く。 「解らないな。でもさ、出来る事をやるんだって決めてるから。」 髪の手触りを楽しむように、ゆっくりと丁寧に髪を梳いていく。 自然と歌を口ずさむ。 ――――世界が貴方を悪と言うのなら 私はそれさえも受け入れる。 世界の全てが貴方の敵だったとしても、 貴方の側には私が必ず居る。 神の意思に反しても、 私は貴方の隣に居よう。 だから、どうか・・・ 信じるモノを曲げないで。 貴方の誓い、願い。 全てを私が認めるから 貴方の穢れ、罪。 私も共に背負うから・・ だから、どうか・・・ 信じることをやめないで。 決して諦めないで。 一人静かに歌う声はやがて二人の声が重なり静かに歌を終える。 「・・少なくとも守護騎士が歌う歌では無いと思うのだが?」 病室の入り口付近でハンディングが声を掛ける。素顔を晒し、楽しげな笑みを見せながら。 「良いの、良いの。どんな歌を好きになろうが私の自由だもん。」 「私も・・この歌は好きです。」 照れくさそうに笑いながら式夜が椅子から立ち上がる。 髪は綺麗に整えられ、丁寧に編みこまれていた。 「ん、完璧。」 式夜を正面から見た彩詩が満足そうに頷く。 「ありがとうございます。」 彩詩に一礼する式夜。 前へ |次へ |
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