《MUMEI》
俺は一人になりたいとき、だいたいこの屋上に来る。
貯水タンクの裏が、指定席だ。
その指定席へと足を向けたとき。
「……あれ!?」
聞き覚えのある声。
俺は、声のしたほうを振り返った。
そこには―…
…そこには、驚きの表情で佇む、
棗が、いた。
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