《MUMEI》

そういえば、最近墓参り行ってねえな…。
邁弥達と別れた後、望は菊の花を買って墓へ走った。
「っと…どこだっけ、な」
望は石の塊が並ぶ道を歩き、自分の家のお墓を探した。
ちがう。ちがう。これもちがう。
「…あ…」
『堂本家乃墓』
あった…。
望は菊の花を供えて、ただ帰るつもりだった。
しかし望は人の気配を感じて振り返り、その瞬間立ちすくんでしまった。
愛驪…。
「めぐ……」
一瞬呼びかたが、望はすぐに口をつぐんだ。
愛驪の様子がおかしい。
……………愛驪……………?
「…………っ……うぅっ………」
愛 驪 は 泣 い て い た 。
しゃがみこんで、膝を抱えて。
泣きじゃくっていた。
それも、我慢しているかのように、小さな声で。
愛驪………………。

そっと…
しておこう……………

愛驪…
ゴメンな…………

俺は………。
何も……
で き な い 。
好きな娘のこんな姿を目の前にしても、
何もできない…………
無力な人間……。
理由だって気になるし、慰めてあげたい。
でも、
一人にしてあげよう…。

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