《MUMEI》

「…俺からは、言えない。知りたいなら、本人に訊いてくれよ」

祐希が申し訳なさそうに、頭を下げた。

「もう、いいよ」

俺は、祐希の頭をポンポンと叩いた。

とにかく、志穂が俺と付き合えないのは、男が恐いから、ではないようだ。

「祐希」
「ん?」
「もし、俺が、志穂が付き合えない理由知ったら、…
俺は、志穂を諦めると思うか?」

…俺を好きな祐希にする質問ではないと思いつつも、理由を知るのは祐希だけだから、…質問してみた。

「…いや。
…俺が、好きな慎なら、それくらいで諦めない」

「ありがとう」

俺は、祐希の背中に腕を回した。

そして俺達は、今年初めて…
一つに繋がった。

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