《MUMEI》
出会い
片岡 裕太 19歳

大学生と言う期間は、人が一生で一番遊ぶ時だと親父は言っていた。
オレは…と言うと、バイト三昧でろくに遊んでいなかった。

もしも路地裏で刺激的な異世界に行く切符が売っているのなら、何百万でも払っていい。
人生なんてつまらないもんだ。

大学2回生の夏、ほんの些細な事からバンドを組む事になった。

ギターは高校生の頃からかれこれ4年間やっているが、バンドを組んだ事なんかなかった。

話は1ヶ月前に遡る。

その日はいつも通り某ファミレスでバイトを終え、着替えて帰るところだった。
「お〜い裕太」

バイトの先輩、真面目、イケメンで有名な 長谷川 佳祐さん が何やら呼んでいる。

「お、ケイさん。突然どうしたんですか?」

「いや、なに。愛すべき後輩にしかできない頼みがあってだな」

ん?なんだ?

「なんだですか?」

しまった。心の声が混じってしまった!

「(?まあいいや)お前ってギター弾けるよな?今度バンドを組む事になってさ。」

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