《MUMEI》

「ん〜、身長は、慎くらいで、顔はアイドル系かな?
多分、年下だよ」

俺の胸がズキッと痛んだ。
次にこみあげてきた感情は、…志穂に対する怒りだった。

(何なんだよ、いったい…)
俺がちょっと触っただけで赤くなるくせに。
俺が好きだと言ったくせに。

『好きだけど付き合えない』って…

付き合ってる奴が…
『本命』がいたからなのか。

「慎? 顔、恐いぞ?」
「あ、…そう、か?」

俺の感情が顔に出てしまったようだ。

俺は慌てて健志に笑顔を向けた。

「…し…、高山さんとは、何回か会ったけど、彼氏いるなんて初耳だったから、驚いただけだよ…」
「そっか、ラブラブな感じだったから、付き合い始めたとこかもな」

健志の『ラブラブ』という言葉に、俺の胸がまた痛んだ。

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