《MUMEI》

「い、…い、とこ?」
「はい。志穂の、母親の妹の息子です」

徹と名乗った美青年は、丁寧に説明した。

(…何だ)

俺は、ホッとした。

従姉妹なら、昔から交流あるだろうし、手ぐらい繋げるだろう。

「お水でも、持ってきましょうか?」
「大丈夫、歩けるから、もらいに行くよ」

気分が軽くなった俺は、徹君と一緒にダイニングキッチンに向かった。

「どうぞ」
「ありがとう」

俺は、徹君が冷蔵庫から取り出した、ミネラルウォーターのペットボトルを受け取った。

俺は、それを、ゴクゴク飲んだ。

それから、徹君の提案で、テーブル席ではなく、リビングの柔らかいソファーに座った。

長いソファーは、ベッドにもなるタイプの物だった。

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