《MUMEI》 「何か、…迷惑かけたみたいで、悪かったね。 俺、覚えてないんだけど…」 「…いい大人なんですから、気を付けて下さいね」 そう言った徹君の口調は丁寧だが、トゲを感じた。 「そうそう、昨夜みたいな電話や、一昨日みたいなメールはよくするんですか?」 「…は?」 突然、話題が変わった。 (電話にメールって…) 俺は昨夜一方的に切られた電話と、一昨日、返事の来なかったメールを思い出した。 (こいつ…まさか…) 「勝手に、志穂の携帯見たのか?」 「たまたまですよ。志穂の入浴中に、た、ま、た、ま。 間違って切ったり消したりしちゃったんです」 ガッ! その、罪悪感の無い軽い口調に腹が立ち、俺は、徹(もう『君』は付けない)の胸ぐらを掴んだ。 「恐いなあ」 言葉とは裏腹に、徹は笑顔だった。 「いいじゃないですか、志穂にちょっかいださなくても」 「お前に言われる筋合いはない!」 俺が睨むと、徹が俺の腕を掴んだ。 (こいつ、何て力だ) 体格はそんなに変わらないのに、俺はそのまま… ドサッ ソファーに押し倒された。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |