《MUMEI》 「何、するんだ、どけよ!」 「そんなに心配しなくても、俺は、あんた達みたいな趣味は無いから、安心していいですよ?」 俺を見下ろしながら、徹は妖しく微笑んだ。 『あんた達みたいな趣味』 その言葉に、俺はビクッとした。 「一体、何の、事だ?」 それでも、俺は、できるだけ冷静に言った。 徹は、軽く笑うと… 「海外生活長いせいか、『そういう人種』、わかるんですよね? あの、背の高い、逞しい男の人、祐希さんでしたっけ? あの人と、デキてるんでしょう?」 と、続けた。 「…」 俺は、言葉が出なかった。 「俺が気付く位ですから、志穂の両親に会ったら、一瞬で、バレますよ? 幸い、『あの人』には、まだ会ってないみたいですね」 「『あの人』?」 俺達の秘密に一瞬で気付く、『あの人』 「男も女もイケる人ですから……は」 「!」 (まさか…) 『あの人』、が。 俺の驚きに、徹が表情を変えた。 「あれ?もしかして、会ってます? おかしいですね。 だったら、志穂に、あんたを諦めろって言いそうなのに。 何か企んでるかもしれませんね?」 最後に、徹はまた笑顔になった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |