《MUMEI》

「おっはよー!!」
私と瑠樹、葵衣、喙、千里は、渚のマンションに来ていてるところ。
「バッターン!!」
瑠樹が思いっきり戸を開ける。
私達は渚の部屋に入った。
不法侵入じゃないよね、これ………。
「渚起きて!起きろ!おーきーなーさーいー!!」
瑠樹がベッドの上の渚を思い切り揺さぶる。
「五月蝿えなあ…」
渚が不機嫌な顔で、渋々 起き上がった。
「オイ、お前ら……」
渚はゆっくり私達を見渡す。
「何勝手に人の部屋はいってんだよ!…はあ…全く…」
ごもっともです、渚さん。
翼は心の中で謝った。
「えー、仲間なんだから、別に良いじゃん☆」
と瑠樹が言う。
「っ…着替えるから外出てろ」
渚はだるそうに立ち上がった。
「えー、迎えにこさせといてその態度…」
「良いから早く!」
私達は部屋から押し出された。
バタン。
渚は戸にもたれ掛かった。
仲間、か……………。
そうか……。
そうだよ、な。
「友達」として。


だんっ!だんっ!
「渚まだあ〜!?おーそーい〜!!」
瑠樹が戸を叩いている。 「五月蝿いなっ!」
バターン!
渚は戸を開けた。
「何だ、用意できたの。さっさと行こっ☆」
瑠樹は、私達の方を振り返って、ニコッと笑った。
「行こってお前…」
渚が怪訝な顔をする。
「まだ7時だぞ?」
瑠樹がニヤリと笑う。
「決まってんじゃん、遊ぶんだよ!」
「ちょ…」
渚の返事も聞かずに、私達は走り出した。
体を通り抜けて行く、爽やかな風が心地いい。

『君へ届けアイラブユー♪』
皆の前では、瑠樹が熱唱している。
「…お前音痴だな…」
渚があきれたかおをしている。
「はあ〜!?」
瑠樹が渚を睨んだ。
「イヤでも俺、渚と同感♪」
千里が笑う。
「えぇー!?何それヒッドーイ………」
「いいからいいから、次翼ね☆バトンタ―ッチ♪」
「エッ、私!?良いけど…」
私は、ギターの入った曲を選んだ。
スウッ
息を吸い込む。
『RARARARA…』
皆目を丸くして翼を見ている。
『君に巡りあって世界が変わって♪君がいたから頑張れたって―…♪』
プチっ。
「終わったよ。次、誰だっけ?」
皆、口を開けて呆然としている。
「…うま」
誰かが、ボソリと言った。
「え?」
それが引き金となり、皆騒ぎ出す。
「翼ウッマーイ!!何?何?何でそんなに上手いのー!?」
「や、それほどじゃあ…」
【チャラチャッチャッチャラッチャ〜♪(ムーディー)】
「あ、ヤバ!も〜こんな時間!急ご!」
瑠樹が、私と葵衣の手を引いた。
「わわっ、ホントだ!急ごっ!」
私達は、走り出した。
これから行く先も分からず、ただただ僕らのゆくえを探りながら。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫