《MUMEI》

ワンルームに男三人。

飲み物は、お茶又はジュース。

奇妙な雰囲気で、俺は、大さんに徹の事を相談した。
大さんは、真剣に聞いてくれた。

そして…

「まぁ、あの母ならやりかねないけど、最終的に、志穂には甘いから、志穂の嫌がる事はしないし、させないよ。

それは、俺達兄妹にも言えるけどね」

と言った。

「本当に、仲良いですよね…」

「だよな…」

俺にも、祐希にも兄弟はいる。
しかし、この絆には適わない、と思う。

「まぁ、あの子は『特別』だからね」
「「『特別』?」」

あの、高山家で?

大さんは、頷いた。

「何と言うか、…
高山の親族って、女は皆肉食動物系なんだけど、志穂だけ草食動物系なんだよね。
癒し系ってやつかな?
だから、皆で守りたくなるんだよね」
「「はぁ…」」

なるほど。

おそらく、高山家の女性は、貴子さんみたいなのが、標準なのだろう。

ライオンの中に、震えるウサギがいたら…

『特別』扱いも納得できる。

「ところで、慎君は、志穂の事、どうするの?」
「え…」
質問する大さんの表情は、真剣そのものだった。

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