《MUMEI》 俺は、ギクリとした。 大さんの表情が険しくなる。 「それは…」 「それは?」 「そうですよ。 それに、俺と志穂も賛成してるし、覚悟もできてますから」 問い詰める大さんに、答えたのは祐希だった。 「本気か?君も、…志穂も」 驚く大さんに、祐希は、志穂と話し合ったと説明した。 (あ…) 助手席の、『誰か』の温もり。 ―志穂だったんだ。 (なのに…) 俺は、志穂を無視した。 志穂は、きっと、傷付いたに、違いない。 前へ |次へ |
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