《MUMEI》

「まぁ、時間の問題だろ」
祐希が茶化した。

「ちょっと待て!」
俺は、まだ解決していない問題を思い出した。

『好きだけど、付き合えない』理由、だ。

俺は、大さんに訊いてみた。

「あぁ、『あれ』ね」
大さんはすぐにわかったようだ。

「何ですか?『あれ』って?」

俺が訊いても、大さんは微笑むだけだった。

「大丈夫。
脱がせたら、わかるから」
「!」
「あ、一緒に風呂に入っても、わかるか」
「!!」

俺は、怒りに震えながら…
「そんな事、できるか、突然!」

と叫んだ。

「あ、じゃあ…こういうのは、どうですか?」
祐希が大さんに耳打ちした。

「いいね。
…て、何で、君は知ってるの?」

「いや、偶然…」
「偶然、ね」

祐希の提案は通ったが、大さんの中での祐希の株は、下がったようだった。

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