《MUMEI》

「志穂、14日夜空けといて。あと、俺、ケーキがいい。夕方行くから」
『え?何? 突然』

志穂の声が、明らかに動揺していた。

「いいから」
『で、でも。徹君いるし…』

携帯から、『俺が、何〜?』と、徹の声がした。

『ううん、何でもない』と、志穂が慌てている。

『ご、ごめんね。うるさくて』
「いや、いいよ。
じゃ、そういう事で」

俺は、一方的に、電話を切った。

(これでよし…と)

多少強引に計画しても、志穂は必ず実行してくれる。
それは、今まで三人で遊びに行った経験から、学んだ事だった。

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