《MUMEI》

玄関に戻る。

靴箱に、いつも志穂がはいているスニーカーとローファーが入っていた。

(…まさか)

俺は、室内をくまなく探した。

リビング・客室・寝室・バスルーム・脱衣所
…トイレ。

…どこにも、いない。

―その時、俺は、台所にある志穂の携帯を思い出した。

ピンクの携帯から、メール受信の赤いランプが光っていた。

俺は、悪いと思いつつ、メールを開いた。

そこには、

『ベランダ』

とだけあった。

(…て、今二月だぞ!)

―俺がベランダにつづく戸に手をかけた時。

クシュンッ

外で小さなクシャミが聞こえた。

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