《MUMEI》 「し、慎君は!」 「ん?」 俺は、笑顔で志穂の言葉を待った。 「本当に、…無いの?」 「…何が?」 志穂の言いたい事がわからない。 「あ、あの、女の子と…」 (…あぁ) そういう事か。 「無いよ。何で」 「いや、慣れてるなと…」 (まぁ、キスはね) 問題があるとすれば、この後だ。 「志穂は、初々しいよね」 「…そんな事…」 (?) 志穂の声が、何故か悲しそうだった。 「よし、続き、しよう」 「…え?」 俺は、立ち上がり、志穂の手をとった。 「さ、どっちのダブルベッド行く?」 さっき志穂を探す時、志穂の寝室を覗いて、密かにチェック済みだった。 志穂は、消えそうな声で、 「寝室でお願いします」 と言った。 前へ |次へ |
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