《MUMEI》

「ん…素直」

志穂が俺の首に腕を絡めてきた。

それから俺は、志穂の体にある傷跡を、全て舐めていった。

そのたびに、志穂の体が素直に反応した。

その姿に、俺は、『男』として、悦びを感じた。

(最初は緊張したけど…)

こうして肌を合わせれば、次にどうすればいいかが、本能でわかった。

「志穂は、濡れやすいんだな?」
俺は、指を舐めた。

「違っ…慎…君だから…」
「『慎』」
俺は、志穂の耳元で囁いた。

志穂の体が、また熱くなった。

「慎って呼んで、志穂」
今度は、顔の前で言ってみた。
「し…ん…?」

その唇を、俺は塞いだ。

「そう。…もう、いい?」
俺はそっと、その入口に、避妊具を付けた自分の先端を当てた。

志穂が頷いたのを確認して、ゆっくりと中に入る。

締め付ける快感は、初めての経験で、確かに自分は『男』だと実感する。

志穂の声や吐息が大きくなり、俺の背中に爪を立てて俺の名前を呼んだ時。

俺は、『男』として、初めて、志穂と一緒に、達した。

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