《MUMEI》 「…とんでもない、母親だな」 徹の話を聞いた俺は、正直な感想を述べた。 徹は、深く頷いた。 「お前、よく引き受けたな」 「志穂の幸せの為ですから。 それに、俺達、志穂には『感謝』してるんで」 「『感謝』?」 徹が、また深く頷いた。 「志穂の、何気ない一言で、俺達、今の仕事をしてるんです。 最初のきっかけは志穂だったけど、皆結局自分が一番向いてて、好きになれる仕事をしてるし。 多分、本人無自覚だけど、人の才能見抜く才能があるんですよ」 「へぇ…」 それは、すごい。 「でも、自分の事はわからないみたいです」 「へぇ…」 それは、不便だ。 俺は、さっきから、徹の言葉に「へぇ」しか言っていなかった。 前へ |次へ |
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